無防備な予感
- 2014
- 3331 Arts Chiyoda / 東京
第二次世界大戦下の1943年前後、ふたりの男女が軍服とセーラー服という姿で横たわり身体を近づけている。
女生徒は肘をついて銃を構え、軍服を着た男が撃ち方を教えているように見える。戦時下の様相を表す軍服やゲートル、女生徒が構える銃の真っ直ぐ伸びた銃口が、折り重なったスカートの襞やその内側の柔らかな身体の線を浮き立たせている。
−2013年春、私は横浜の名画座に映画を観に行った帰りに古書店に立ち寄り、個人の持ち物であったであろう一冊の写真アルバムを手に取った。この写真はそのアルバムの中に収められていた一枚である−
彼らは撮影者の視線に気づいていないのだろうか、銃を構えているにもかかわらず、二人が並んで背中を見せている様子はとても無防備に感じられる。 ふたりの距離感は一見すると親密な雰囲気を湛えているようにも見え、二人の関係性や未来に関する「予感」を掻き立てられる。しかし、情勢を考えると、この光景はいわゆる軍事訓練を捕らえただけなのかもしれない。
「写真」に「対象」が写るのは、撮影者がレンズを向け、ファインダーをのぞき、シャッターボタンを押してから、シャッターが開いている間の出来事。 この作品では、セーラー服姿の女生徒と軍服を着た人物とのこの時の会話を想像し、写真に字幕をつけた映像を制作した。
その作業は、恣意的で想像の域は超えずとも、写真の中で静止し続けている彼らの言葉を紡ぎだし会話させることによって、その時その一瞬に何が起こっていたのか、彼らは何を考えていたのかという考察を超えて、この写真が何を予感させているのかについてもっと近づきたいと思う。
どうやって撃つの?パフォーマンス
- 2014
- 3331 Arts Chiyoda
一枚のファウンドフォト。写真のなかに横たわる女生徒は銃を構えていて、隣には兵士の姿。私は高校生の時に着ていた制服を身につけ、銃声の入った音響テープをセットしたアナログアンプの再生ボタンを押すようにと観客に促す。